尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の主にHPV-6型・HPV-11型によって発症するウイルス性性感染症です。
性器や肛門周囲の皮膚・粘膜に、淡紅色ないし褐色の特徴的な鶏冠状(とさか状)やカリフラワー状のいぼが多発します。
がん化のリスクが高い高リスク型HPV(16型・18型など)とは異なり、良性のいぼを形成するのが特徴です。年間10万人あたり30人程度の発症頻度。
ヒトパピローマウイルスは小型のDNAウイルスで、型によって感染部位が異なります。ウイルスは表皮基底層細胞に感染します。
皮膚に感染する型では、1・2・4型などが良性のいぼ、5・8・47型などが皮膚癌の原因となります。
粘膜に感染する型には、尖形コンジロームを引き起こす6・11型(低リスク型)と子宮頚癌の原因となる16・18・31型など(高リスク型)があります。
出典:パピローマウイルス粒子(JIHS 国立健康危機管理研究機構)より
性交、オーラルセックス、アナルセックスによる直接感染
感染者の皮膚や粘膜との接触(コンドームで完全には予防できない)
潜伏感染でまだ症状が出ていない相手からも感染する可能性があります。
男性:陰茎(特に冠状溝・亀頭・包皮内側)・尿道口まわり・陰嚢・肛門周囲
女性:外陰部(小陰唇・大陰唇)・膣入口や膣内・子宮頸部・肛門周囲
一般的に、感染から約3週間〜8か月程度の潜伏期間があり、多くの場合は2〜3か月ほど経ってから症状があらわれます。
男性にみられる症状
※痛みやかゆみが軽いため、放置して悪化・拡大するケースもあります。
女性にみられる症状
※妊娠中に発症すると、出産時に母子感染を起こすこともあるため注意が必要です。
その他の症状
咽頭感染によるのどの違和感、肛門の内側や直腸内にイボ、排尿時の違和感・軽い痛みなどが見られる場合があります。
治療を行わないと、イボが数・大きさともに増えて広がることがあります。小さな突起が次第にカリフラワー状に集まり、見た目の違和感や不快感が強くなるケースもあります。
症状が軽くても、皮膚や粘膜にウイルスが存在していれば性行為で感染させる可能性があります。特に無症状の状態でも感染力があり、知らないうちにパートナーへうつしてしまうことがあります。
尖圭コンジローマは感染してから症状が出るまでには時間がかかります。感染の可能性があった日から約3週間〜3か月以降。潜伏期間が長い場合は、6か月後でも検出されることがあります
ウィンドウ期とは
ウィンドウ期(window period)とは、感染から実際に検査で陽性と判定できるまでの期間を指します。この期間は、体内でウイルスや細菌が増殖したり、抗体や抗原が検出できるレベルまで達するまでに必要な時間です。ウィンドウ期の間は、実際には感染していても検査結果が陰性になる可能性があります(偽陰性)。
このため、感染の可能性がある日から一定期間が経過していないと、検査の精度が低くなります。早期検査で陰性でも、安心してはいけないケースがあるため、期間を開けての再検査が推奨されます。
HPVは**パートナー間で感染を繰り返す(ピンポン感染)**ことがあります。自分が治療を受けても、相手が感染したままだと再発する可能性が高いため、カップルでの検査・治療をおすすめします。
診療内容 | 詳細 | 料金 |
---|---|---|
尿検査 | クラミジア・淋菌 | 7,700円 |
マイコプラズマ・ ウレアプラズマ |
11,000円 | |
トリコモナス | 8,800円 | |
一般細菌培養・同定 | 11,000円 | |
咽頭検査 | クラミジア・淋菌 | 7,700円 |
マイコプラズマ・ ウレアプラズマ |
11,000円 | |
血液検査 | HIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎 (4項目) |
14,600円 |
単純ヘルペス 抗体検査 |
11,000円 | |
性病検査 セット (6項目) |
クラミジア・淋菌(尿検査)・HIV・ 梅毒・B型肝炎・C型肝炎(血液検査) |
19,800円 |
性病検査 セット (8項目) |
クラミジア・淋菌(尿・咽頭検査)・HIV・ 梅毒・B型肝炎・C型肝炎(血液検査) |
24,200円 |
スワブ検査 | 一般細菌培養・同定 | 11,000円 |
内服薬 | 5,500〜9,900円 | |
注射 | 11,000円 | |
尖圭コンジローム 除去 |
88,000〜 175,000円 (範囲・大きさにより異ります) |
|
診察料 | 5,500円 |
性病(性感染症)は、正しい知識と予防策を実践することでリスクを大きく減らすことができます。
ヒトパピローマウイルスは皮膚や粘膜の微小な傷から侵入して感染します。感染予防にはコンドームの使用が効果的ですが、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などがある場合は特に感染しやすいので注意が必要です。
4価ワクチン(ガーダシル®)
HPV16型・18型(高リスク型)+ HPV6型・11型(尖圭コンジローマ原因)
→ 尖圭コンジローマ予防に有効。
9価ワクチン(シルガード®9)
HPV16・18・31・33・45・52・58型(高リスク型)+ HPV6・11型
→ 子宮頸がんの原因となる型をさらに幅広くカバーし、尖圭コンジローマの予防効果もあり。
HPVワクチンを接種した人では、発症率が大幅に低下することが世界的に確認されています。
すでに感染しているHPVや発症している尖圭コンジローマに対する効果はないため、感染する前の接種が大切です。
日本では小学校6年生~高校1年生相当の女子に定期接種(無料)として実施されています。
任意で男性も接種可能。特に性交経験前の接種が有効です。
接種回数:ワクチンや年齢によって2回または3回
15歳未満:通常2回接種
15歳以上:3回接種
副反応について
注射部位の痛み・腫れ・赤み、一過性の発熱、頭痛、倦怠感
極まれにアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応
失神や気分不良が起こることがあり、接種後30分程度の安静観察が推奨されています。
コンドームは性病予防において最も基本的かつ効果的な方法です。性行為の最初から最後まで正しく装着することで、HIVやクラミジア、淋菌など多くの性感染症の感染リスクを大幅に減らすことができます。
ただし、完全に感染を防げるわけではなく、皮膚や粘膜が接触する部位(性器周囲、肛門、口腔など)から感染する可能性もあるため、過信は禁物です。
パートナーの数が多いほど、性病に感染するリスクは高まります。信頼できる相手との関係を大切にし、不特定多数との関係を避けることは予防に直結します。特に、相手の感染歴や検査状況が不明な場合は注意が必要です。
安全なパートナーシップの構築は、自分自身だけでなく大切な人を守ることにもつながります。
性病は初期には無症状のことも多く、自覚のないまま感染が広がるケースも少なくありません。自分やパートナーを守るためにも、定期的な検査を受けることが重要です。特に新しいパートナーとの関係が始まったときや、不安を感じたときには早めの検査をおすすめします。検査は医療機関で簡単に受けることができ、早期発見・早期治療につながります。
自然に治りますか?
一部は自然消失することもありますが、再発や増大することが多く、治療を受けるのが推奨されます。
パートナーにも検査が必要ですか?
はい。無症状でも感染していることがあり、パートナーの診察・治療も重要です。
パートナーと一緒に受けられますか?
はい、同時検査・治療が可能です。
ワクチンで予防できますか?
HPVワクチン(ガーダシル®、シルガード®9)は原因ウイルス(6型・11型)に有効で、尖圭コンジローマの予防効果があります。
性行為はいつから再開できますか?
治療が終了し、3ヶ月は診療な観察が必要。新たな病変が出ていないことを確認してからが望ましいです。
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